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フランスを魅了する日本人画家
犬丸暁さんインタビュー
杉浦岳史

パリから急行電車で1時間半ほどのノルマンディーの古都、ルーアン。そこはフランスを救った中世の英雄ジャンヌ・ダルクが火刑に処された街。そして印象派を代表する画家クロード・モネが愛し、描き続けた大聖堂がある街として世界中に知られる。
 

大聖堂と同じく、ルーアンのゴシック建築代表作として知られるのが1318年に建設が始まったサン=トゥアン修道院。フランスの歴史的記念物に指定されるこの修道院の壮大な教会で今年5月、ルーアンとパリを拠点に活動する日本人画家・犬丸暁(あきら)さんの個展《Cimes et Racines 梢と根》が開催された。

やわらかな光に満たされた教会の内部で枝や葉を伸ばし、あるいは根を張るようにシルエットを這わせていく植物たち。絵画を彩る無数の色は、ステンドグラスを透過した太陽の光の色と呼応して、一瞬ごとにその表情を変えていく。鮮やかな色の重なりあい、ざらざらした手触り感、ほとばしる絵具・・・。表面を燃やした焼け跡さえもある表現は時に荒々しく、それでいて繊細で詩的でもある。
 

視界に入るその風景だけでも展覧会と作品の美しさを感じることができるのだが、作家の話を聞くと、そこには想像しなかったさまざまな意味と、これまで辿ってきた活動の軌跡が込められていることがわかった。

 

抱き続けた、子ども時代の夢。
 

日本で幼稚園にいた頃から、お菓子屋さんか絵描きになろうと思っていたという犬丸さん。「でも僕がお菓子屋さんになりたいのはお菓子が食べたいからだ」と子供ながらにわかっていた彼は、自分は絵描きになりたいんだ、という静かな想いを抱きながら成長し、中学校時代には絵画教室に通った。

つづき→ https://sumau.com/2022-n/article/3421

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